Positive Grid Spark LIVE meets Toshiki Soejima & Naho Kimama
- 2024/12/13
PHIL JONES BASS / D-400
優れた音質と機能を備えた小型コンボ・アンプの製品群に定評のあるPHIL JONES BASS(以下:PJB)から、新たに小型ベース・アンプ・ヘッドであるD-400が登場しました。まず何よりも特筆すべきことは、D-400が極めて小型軽量であるという点でしょう。大きさは244(W)x193(D)x43(H)mmとB5ノートくらいのサイズ、重量はなんと1.3kgで、実物を持ってみると実はアンプではなくエフェクターなんじゃないか?と思うほどの軽さです。これならベースのキャリング・ケースのポケットにも入るし、ベースと一緒に背負っていても苦にならない重量ですね。近年では「小型ベース・アンプ・ヘッド」がベース・アンプの主流とも言え、各メーカーから数多くの機種がリリースされていますが、小型化に拘るばかりに出力が不充分だったり、低域が不足気味で音が軽かったりする機種が少なからず存在するのも事実です。その点、D-400は4Ω負荷で350w、8Ω負荷で200wの出力があるし、アナログとデジタルの利点を最大限に活かしたハイブリッド回路により、PJBならではの高音質と機能性は確保されています。D-400に限って言えば、小型だからと言ってベース・アンプに求められる基本性能を犠牲にしている面はありません。
それでは実際に音を出してみましょう。入力レベルはミュート機能を備えた入力感度の切替スイッチとレベル・コントロールの組み合わせで適切なレベルに調整します。一般的なインプット・ゲインとは違い、絞り切り(パネル表記で-10dB)でも音が出る仕様になっていて、個人的にはとても使いやすく合理的な仕様だと思いました。音作りの中核を担うのは、5バンドのイコライザー・セクションです。全てセンターにしたフラットな状態でもPJBならではのフラットでクリアな抜けの良いサウンドが楽しめるので、個人的にはこの状態から使用楽器や環境に合わせて僅かに補正する程度でも充分なんですが(笑)、アレコレと弄ってみると、5バンドあるだけに音域の可変幅はとても広く設計されていることがわかります。とはいえ、元の音色がわからなくなるほど過激な効き方をするわけでは無く、本来の質感は損なわずに必要な帯域だけを自然に上げ下げするというような効果です。例えば、エフェクターやプリアンプなどで過激な音色や凝った音色を作ったとしても柔軟に受け止めてくれるはず。キャビネットや再生環境の違いといった外的要因による音質変化にも対応しやすいイコライザーと言えますね。
PJBは5インチのピラニア・スピーカーを複数搭載したコンボ・アンプを多数リリースしていますが、今回のD-400の試奏でもピラニア・スピーカーを4基搭載したPJBのキャビネットCompact 4を用いて行ないました。D-400とスペックの近いコンボ・アンプSuitcase Compactと比較すると、どちらもその大きさからは信じられないようなふくよかな低音域と情報量の多い音色というPJBらしさがあるものの、D-400+Compact 4の組み合わせのほうが僅かにソリッドな音色で、アタックがタイトかなという印象でした。D-400はベース・アンプ・ヘッドですので、他社のキャビネットも鳴らしてみましたが、必要に応じて5バンドのイコライザーで補正しつつ、それぞれのキャビネットの個性を生かした音色で演奏することができますね。
恐らくベーシストなら誰もが自分の音色をどんな環境でも変わらず安定して「気軽に」出せるようにしたいという欲求を持っていると思いますし、その答えを小型ベース・アンプ・ヘッドに期待するベーシストも多いでしょう。D-400は、サイズ的にも、機能的にも、音色的にも、そして価格的にも、そういった欲求を満たしてくれると断言できると思いました。
価格:オープン
価格:オープン
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