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- 2024/11/16
Gibson Memphis / ES-Les Paul Custom
3回に渡り、“ジルデコ”ことJiLL-Decoy associationのギタリストkubota氏にギブソンの最新モデルを試奏していただく特別企画。最終回は、漆黒のボディが目を引くES-Les Paul Customを動画付きで紹介します!
ES-335とレス・ポールが高い次元で融合した新しいギターと評判のES-Les Paul。従来のモデルはレス・ポール・スタンダードがベースとなっていたが、本器は2015年のリミテッド・モデルで、シックなレス・ポール・カスタムがベースとなっている。
本器は、チェンバー加工ではなく、ES-335のようにリム(ボディ・サイド)と、ボディ・トップ/バック、そしてセンターブロックを持つ、まさにセミアコそのものの構造を持っている。外見上はレス・ポールだが、構造上はES-335。しかしながらそのサウンドは、それらとは一味違う独自のものになっている。このカスタム・モデルの外見上のベースは、その名が示すように“ブラック・ビューティー”と称されるレス・ポール・カスタム。漆黒のエボニー・フィニッシュや、ヘッドに輝くスプリット・ダイヤモンド・インレイは、まさにレス・ポール・カスタムだ。さらにこの2015モデルでは、チューブを排した“ヒストリック・トラスロッド”を採用し、さらに鳴りを強化。その鳴りを、ギブソン・メンフィスが開発したMHSハムバッカーがしっかりとアウトプットしてくれる。2015モデルらしい低めのフレット、手に馴染むロールド・ネック・バインディングなども採用され、プレイアビリティも万全だ。
──本器の第一印象を教えてください。
びっくりするくらい軽いですね! やっぱりレス・ポールはある程度の重さがあるイメージなので、手にした瞬間に驚きました。あとはセミ・アコースティックのボディなので、箱鳴りがすごいですね。生でもすごく鳴ります。ジャズ好きの僕としては、まずはこれでジャズを弾きたいなと感じました。
──確かに、生音自体がいい音していましたね。
そうなんです。“アコギか?”っていうくらい大きな音で鳴りますし、アンプにつないでもフルアコ並みのジャジィな音がしましたね。
──各ピックアップのキャラクターが違うとも?
フロントの音は完全にジャズ・トーンで、ミドルの甘い、太い音がします。そこからピックアップのセレクターをセンター、リアと変えていくに従って、どんどん“レス・ポールっぽさ”が出てくるように感じました。センターではまだセミアコ感もあって、ファンクからソウルまでイケます。音の立ち上がりが良くて、カッティングしても気持ち良いですよ。リアにするとバコーンと抜けてくる感じで、歪ませて弾いても“ファットだけど抜けがいい、そして甘さもある”レス・ポールっぽい音がしますね。
──エフェクト乗りという観点ではいかがでしたか?
センター・ポジションでエフェクトをかけると、透明感がある“シャリーン”とした音も出ますね。エフェクト乗りもいいですよ。ディレイなんかの空間系も歪み系も、きれいに乗ります。
──取り回しについては?
いわゆるフルアコ/セミアコはボディが大きいですし、ソリッドと持ち替えたりするとどうしても違和感があることが多いんですが、これなら見た目はレス・ポールそのものですし、違和感なく持ち替えできますね。小ぶりなので、取り回しも非常に楽。でもこのボディからあの箱鳴りがするというのもすごいですよね。
──ネック周りの弾き心地は?
しっくりきますね。フレットも高過ぎず、低過ぎずですし。スライドさせても指に引っかかるようなことはありません。グリップは、気持ち細めでしょうか、とても握りやすい感じです。何の問題もなく、最初からスムーズに演奏できます。
──このモデルをオススメするなら、どのような人に?
まずは普段、フルアコ/セミアコなどの大きなボディでジャズを弾いている人にぜひ試してもらいたいですね。この見た目から、ものすごくジャジィな音がするので驚かれると思います。フラット・ワウンドの弦を張ったら、完全にフルアコと間違われるんじゃないでしょうか。あとは、普段はソリッド・ギターでロックを弾いているんだけど、ちょっとジャジィなことをしてみたいという人も、違和感なく弾けると思うのでオススメです。
僕のように、ジャズも好きだしロックも好きだし、ソウルやファンクも好きという人には最高ですよ。ライブではそれほど何本もギターを持ち替えられなかったりしますよね? そんな時でもこれ1本で、ピックアップを変えていくだけで色々な音楽に対応できるのが魅力だと思います。
※次回の週刊ギブソン〜Weekly Gibsonは8月7日(金)を予定。
価格:¥472,000 (税別)
kubota
1976年、静岡県生まれ。本名:久保田浩之。JiLL-Decoy association(ジルデコ)で活躍するギタリスト。8歳でエレクトーンを始め、その後ピアノを習得。高校では吹奏楽部でクラリネットを担当、また指揮法、編曲を学ぶ。同時期にギターを始め、大学進学後ジャズ・ギターに目覚める。卒業と同時に渡米しジャズを本格的に学ぶと同時にプロとしてのキャリアをスタート。ジャズを中心にHIP-HOPやR&Bなど様々なギグやレコーディングを重ねる。2002年、セッション・ギタリストとして活動する中、towada(d)と出会い意気投合。その後chihiRo(vo)を加え、JiLL-Decoy associationを結成する。これまで6枚のフル・オリジナル・アルバムを発表している。