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- 2024/11/16
Gibson Custom / True Historic Les Paul
今年1月に開催されたNAMMショーでプロトタイプが展示され、週刊ギブソン第49回でも速報したギブソン・カスタムの大注目の新シリーズ“True Historic”。ボディ・シェイプを含むモデル自体のブラッシュアップ、製作工程や細部のマテリアルの見直しが行なわれ、これまでにない次元でオリジナル・ビンテージを追求した、まさにギブソン・カスタムの情熱の粋が惜しげもなく注ぎ込まれたシリーズだ。ここでは、ギター・マガジン2015年7月号の大特集「究極のビンテージ・リイシュー/ギブソン・カスタム“True Historic”という情熱」と連動し、辣腕セッション・ギタリスト、飯室博さんの試奏動画を中心にその魅力を2回に渡ってお届けします。第1回は、1958、1959、1960の3本の“バースト”レス・ポールにフォーカスしています!
使用アンプ:マーシャルJVM205H(ヘッド)+1960A(キャビネット)
使用シールド:Lava Custom Shop Van Den Hul
前年に“PAF”を搭載し、仕様上はほぼ完成したレス・ポール・モデルが、そのフィニッシュをサンバーストに変えたのが1958年。ここから1960年に一度生産を止めるまでのモデルがレス・ポールの中でも最も人気が高い、いわゆる“バースト”で、58年製のモデルは、バーストの中では最もしっかりとしたグリップが特徴だ。ジミー・ペイジやロニー・モントローズの愛器が58年製。本器は派手すぎない杢目と、淡く渋いサンバーストのカラーリングが特徴の個体で、どことなくジミー・ペイジの愛器を彷彿させる。
価格:¥847,000(税抜)
これぞレス・ポールという音で、“1959”と比べるとエレキ・ギターのシンプルな部分が出ている感じですね。特にプレーン弦の響きがシンプルに感じます。そしてこのギターは、最高に弾きやすい! “1958”はグリップが太いと言われますが、まったく気にならない。むしろ低いポジションから高いポジションまで、手にした瞬間からまったくストレスなく弾けます。ボリュームとトーンのコントロール、右手のタッチだけで、クリーンから深い歪みまでアンプ直で作り出せるので、弾いていて楽しいですよ。これだけ反応と操作性がいいと、ボリューム・ペダルも不要ですね。どんなジャンルでも使えるけど、特にブルース・ロックには最高です!
バーストの中でも、特に最高の完成度だと言うファンが多いのが59年製。ネック・グリップは58ほど太くなく、色味は60ほど赤すぎず……というバランスの良さが人気の秘密だ。ビンテージの59年製では、ピーター・グリーンからゲイリー・ムーアに譲られたギターや、ビリー・ギボンズの“パーリー・ゲイツ”が有名。本器は深みのあるサンバーストと、ギラついたトップの杢目が個性的な一本。杢目は見る角度によって表情を変え、豊かなアーチと相まって、いつまで見ていても飽きることがない美しさだ。
価格:¥1,065,000(税抜)
これは弾いた瞬間に、昔レコードで聴いた記憶の中の音がそのまま出てきて、思わず“おっ!?”と声が出てしまいました(笑)。生でも感じられるような独特のエアー感のある音を持っていて、それをそのままアンプで増幅している感じです。以前59年製のビンテージを弾いたことがあって、それは日本の気候の中でもカラッカラに乾いていて驚いたんですが、これはちゃんとそのあたりを狙って再現している鳴り方ですね。実は良いレス・ポールはセンター・ポジションで手元のボリュームを絞るとテレキャスター的な音が出るんですが、これも本当にそんな音が出ます。ボリュームを上げると適度に暴れる感じもあり、初期のジョー・ペリーのような無骨なニュアンスも出しやすいですね。
サンバースト・レス・ポールが生産された最終年となる1960年。60年製レス・ポールの使用者としてはジョー・ウォルシュやエリック・クラプトンが有名だ。バーストの短い歴史の中でもそれまでとは仕様が微妙に異なり、ネックのグリップが細くなり、フィニッシュも赤みが強く残ったものが多くなる。60年製の細身のグリップが好きだというファンは、早めに入手したい。True Historicの中でも1960は生産数が非常に少なく、初年度は200本、そのうちエイジドは世界で25本のみという。争奪戦が起こること必至の、お宝ギターだ。
価格:¥1,065,000(税抜)
これは本当に弾きやすいですね。いつも弾いているフレーズもこれで弾くと音の立ち上がりがとてもいいので、弾きやすく感じます。反応がいいというか……。初めて弾くギターで反応が悪いと本当に弾きにくいものなんですが、これは楽に弾けますね。もちろんネックやフレットなどの処理もよく、プレイアビリティという意味でも弾きやすいです。この弾き心地と音は、新品とは思えないですよ。本当にビンテージの感じです。1弦のハイ・ポジションでも音が詰まったりすることなく、サステインが伸びるのも良いレス・ポールならではですね。気持ちを入れて弾けば、それに応えてくれるギターです。
リットーミュージック刊『ギター・マガジン2015年7月号』のCD連動特集「究極のビンテージ・リイシュー/ギブソン・カスタム“True Historic”という情熱」では、飯室博さんによるデモ演奏の全容はもちろん、ここではお伝えできなかった同シリーズのブラッシュアップ・ポイント詳説(マニアックなパーツ画像も!)や美しいギター写真、さらに飯室博さんのギターなども紹介されています。是非チェックして下さい。
※次回の週刊ギブソン〜Weekly Gibsonは6月19日(金)を予定。
飯室 博
80年代からセッション・ギタリストとして活動を開始し、これまでに矢沢永吉、徳永英明、財津和夫、甲斐よしひろ、CHAGE and ASKA、古内東子らのライブやレコーディングをサポートする。また、スタジオ・ワークとしては『医龍』を始めとしたTVドラマの音楽やCM、映画音楽などのレコーディングにも参加し、近年では『進撃の巨人』や『機動戦士ガンダムUC』といった人気TVアニメの劇伴にも関わっている。