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- 2024/11/16
Gibson / The Bob Dylan Autographed SJ-200 Collector’s Edition
今週は、ギブソン本社より発表されたばかりの、ボブ・ディラン&ギブソンによるスペシャル・コラボレーション・モデルについて速報します。
ギブソン・アコースティックよりボブ・ディランを監修に迎えたSJ-200のカスタム・モデルが12月にリリースされることが発表された。ボブ・ディランが楽器メーカーとコラボしてギターを製作するのはこれが初とのこと! いよいよ実現したモデルは、ギブソンSJ-200だった。
SJ-200、及びJ-200と言えば、ギブソン社が手がけるフラットトップ・ギターのフラッグシップ・モデルとして1938年に発売が開始され、17インチ幅の大型ボディと深胴設計、それに25 1/2フル・スケールによる迫力ある鳴り、マスターシュ(口髭)ブリッジを始めとする名意匠などからエルヴィス・プレスリーやジョン・レノンを始め、多くのトップ・ミュージシャンを魅了してきた銘器。それだけにさまざまな逸話を生んできたギターでもあり、今回のカスタム・モデルを手がけたボブ・ディランとの間にも多くのエピソードが存在する。
最も有名なのは1969年にリリースされたディランのアルバム『ナッシュヴィル・スカイライン』だろう。ジョニー・キャッシュとのデュエットに始まり、ノーマン・ブレイクやピート・ドレイクなどカントリー畑の名手たちの手を借りつつ、「レイ・レディ・レイ」「今宵はきみと」などの名曲を生んだディラン・アコースティックの大傑作で、その内容もさることながら、屈託ない笑顔でカメラを覗き込むディランを写し出したジャケットも非常に印象深いアルバムだ。下のジャケット写真を見ればおわかりのとおり、この時にディランが手にしていたのがJ-200である。
このJ-200は1968~69年製と思われ、当時から親交があり“トラヴェリング・ウィルベリーズ”ではバンド活動をともにしたジョージ・ハリスンからプレゼントされたものと言われている。ウェスタン・ギターの代名詞とも言われ、とかく“保守”のイメージがつきまとっていた本器を前面に押し出しながら全く新しいスタンダード・ソングを作り上げた本作の制作経緯は、常に自分に課せられる既成概念を壊しながら新しいものを生み出してきたディランの長いキャリアを象徴するものとして、現在でも語り草になっている。数々のアコースティック・ギターを抱いてきたディランにとっても、SJ-200/J-200には強い思い入れがあるということなのだろう。
今回、ボブ・ディランとギブソンによる2種類のスペシャル・コラボレーション・モデルが製作されているので、両者を個別に紹介しよう。基となったのはディランの所有器で、一般によく知られる1968~69年製ではないようだ。
ディランが実際に所有するSJ-200の“完全”レプリカとアナウンスされる「Collector’s Edition」。ボディ・トップには3Aグレードのシトカ・スプルースが、サイド&バックにはフィギュアード ・インディアン・ローズウッドが奢られている。先の1968~69年製J-200ではチューン“オー”マティック・ブリッジが採用されているが、本器では通常タイプのブリッジ・サドルが搭載されており、このあたりにディランの好みが垣間見られるのも興味深い。検体はディランによってカスタマイズされた個体とのことだが、装飾類は今回オリジナルで発案されたものと考えられそうだ。指板のクレスト・インレイは花の咲き加減をモチーフにした意匠に変更されており、またヘッドはディランの“eye”ロゴがあしらわれている(このロゴは専用ケースにも刺繍される)。パールで飾り立てたダブル・ピックガードも壮観で、バインディングには1930年代のレイ・ウィットリーのスタイルが踏襲されるなど、マニアックなこだわりも見られる。華やかながらどこか滋味も漂う素晴らしいデザインの本器は、世界175本限定となる。なお、「Collector’s Edition」のサウンドホール・
やはりディランの所有器をモデルにした「Player’s Edition」。「Collector’s Edition」より積極的なカスタマイズが行なわれており、それはボディ・トップにアディロンダック・スプルースが使われている点からもわかる。サイド&バックがメイプルになっているので、基となったモデルの年代は戦中以降と考えられ、加えて通常のブリッジ・サドルが採用されているところを見ると、60年以前のモデルと推測される。意匠関係は「Collector’s Edition」と基本的に同じだが、ダブル・ピックガードの装飾に違いが見られる。また本器ではあらかじめエレクトリック・システムとしてL.R.バッグス社のアンセムが搭載されており、プレイヤーが即戦力として使用できる1本と言える。
その他、ニトロセルロース・ラッカーによるフィニッシュやギブソンのお家芸とも言えるサンバースト処理は2本共通の仕様。ネックにはともに2ピースのメイプルが使われており、L-5をプロトタイプとしたオリジナルのプロファイルもしっかり踏襲されている。この素晴らしきギターに結実したギブソンとボブ・ディランのコラボレーション。ディランのサウンド嗜好が直に味わえるめったにないモデル。すでにデジマート上にも登録があるので、興味のある人はお見逃しのないように。
価格:¥1,230,000 (税別)
価格:¥616,000 (税別)