AQUBE MUSIC PRODUCTS
- 2024/11/16
YAMAHA DTX502&400シリーズ エレクトロニック・ドラム
時代と共に止まることなく進化を続けるエレクトロニック・ドラム。中でも音源モジュールのクオリティ・アップは特に目覚ましく、膨大な“サウンド”や“プリセット・ソング”が収録されている他、多種多様な機能の搭載など、アコースティック・ドラムとはまた違った楽しみ方ができるのもエレクトロニック・ドラムの魅力だ。今回はYAMAHA DTX502&400シリーズの“音源モジュール”にスポットを当てて、ドラムのスキルアップが図れる練習機能をRCCドラムスクールの山本雄一氏が動画でわかりやすく解説! また、リズム&ドラム・マガジン12月号との連動企画としてロック・シーンで活躍するバンド・ドラマー、Bunta&ペギの2人に本機を試してもらった感想も併せて紹介しよう。
それでは早速、今回紹介するDTXドラムキットの音源モジュールに内蔵されている練習曲の一部を、RCCドラムスクールの講師・山本雄一氏によるデモ演奏で紹介しよう。ロック、ジャズ、ダンスなどなど、様々なジャンルの曲に合わせて練習できるのもエレクトロニック・ドラムの魅力の一つだ。自分のプレイ・スタイルの幅を広げるのにも大いに役立つだろう。
ここで今回の動画に使用した2台のDTXドラムキットと、それぞれに搭載されている音源モジュールDTX502&400を紹介しておこう。
それではトリガーモジュールDTX502とDTX400に搭載されている主なトレーニングメニューを“目的別”に見ていこう。まずはメトロノーム機能を使った、“リズムやテンポ”に特化したトレーニングメニューを解説!
続いては、内蔵練習曲やiPodなどの外部接続による、“楽曲を”使った練習機能について紹介していこう。
DTXの音源部には、あらかじめさまざまなジャンルの練習曲=ソングが内蔵されています。どれもプログラミングされた音でありながら、その完成度はとても高く、何も考えずに合わせて叩いているだけで楽しく練習できるでしょう。このソング機能は“好きなテンポに変える”、“ドラムのデモ演奏だけを聴く”、“デモ演奏のドラム・パートを消して練習する”といったさまざまな調整ができるので、自分の必要に応じてメニューを変えていけるのも利点です。ちなみに私自身はこのソング機能を“楽しいメトロノーム”と考えていて、極めたいリズム・パターンを黙々と叩き続けるとか、ツーバスの“ドコドコ”を繰り返すとか、フィルインやソロの精度を上げていくといった練習メニューのパートナーとして愛用しています。クリック音を聴きながらの練習とは異なる楽しさがありますし、“他のパートの音を聴きながら叩く”というアンサンブル感覚の強化にも大いに役立ちますからね!
“自分の演奏を録音する、それを客観的に聴く”、これは楽器の上達を目指す上で不可欠なポイントですね。ハンディ・レコーダーなどの録音機器があればできることですが、本体だけで手軽にできるのがDTX502に搭載されている“レコーディング機能”です。クリック音と同時に叩いた演奏をチェックしたり、オリジナル・フレーズ作りのために録音状態のまま自由にプレイするというのも良いでしょう。また、録音した自分の音に合わせて叩く“1人ツイン・ドラム”も楽しめます。
続いてはヤマハDTXシリーズならではのアイディア溢れる、ユニークなオリジナル機能をチェックしていこう。
リズムゲート機能とは“正確なタイミングで叩かないと音が鳴らない”という電子ドラムならではの機能です。その“楽しさと恐ろしさ(!?)”に関しては、とにかく実際に体験してみてほしいですね。ゲーム感覚で楽しめつつ、一打一打への集中力が極度に高まるという最高のトレーニングになるのです。筆者自身、この機能のヘヴィ・ユーザーであり、“気を抜いたら音が鳴らないぞ!”というイメージをプレイ中の意識に植えつけることで、生ドラムの演奏にも役立てています。求められる精度の幅も段階的に設定できるので、いろいろと使い分けて活用してみましょう。
いわゆる“ハシる・モタる”をどんなトレーニングで克服すればいいのか?と悩んでいるならば、“メジャーブレイク機能”を強くオススメします。コレは例えば、4小節の繰り返しの中で3小節目まではクリックが鳴り、4小節目だけクリックが消えるという機能。自分のプレイがクリックのない小節で乱れると、再び鳴るクリックとズレてしまうという仕組みです。筆者もこの機能を愛用していますが、タイム感以上に、ドラマーとしての精神力が鍛えられるオススメのメニューですね。
DTX400には液晶ディスプレイがないので、ボタンの“点灯/点滅/消灯”から判断する場面が多いのです。慣れてしまえば本体だけで十分に使えますが、実は最先端の操作方法もあるのが魅力。それは、“DTX400 Touch”というiOSアプリ(無料)を使う方法です。そのアプリをインストールしたiPhoneやiPadとDTX400の音源部とを専用のケーブルで接続すると、あらゆる操作を視覚で確認しながら行えるようになるのです。iOSを使えるならば、ぜひ活用したい画期的なシステムですね。“Song Beats”および“DTX400 Touch”は、アップル社のAppStoreから無料でダウンロードできます。
【DTX400Touch.app】DTX400対応
【Song Beats.app】DTX502 / DTX400対応
* アップルおよびiPhoneは、アメリカ合衆国およびその他の国々におけるApple Inc.のサービスマークです。
i-UX1はiPad / iPhone / iPod Touch のアプリケーションと楽器を組み合わせて、楽器の機能を拡張するUSB MIDI インターフェースケーブル。DTXと接続する際に必要になります。
* iPhone 5/5s/5c, iPad(第4世代), iPad mini, iPod touch(第5世代)では市販されているLightning - 30ピンアダプタが必要です。
ここまでDTXのトレーニング機能活用術を動画でお届けしてきたが、最後に『リズム&ドラム・マガジン12月号』誌面でDTX502&400シリーズを徹底検証してもらった、バンドTOTALFATのドラマーであり、自宅練習でもDTXシリーズを使っているというBuntaと、今回初めてDTXをじっくり叩いたというグッドモーニングアメリカのドラマー、ペギが、試奏を通じて2人が感じたことや、DTX Drumsの活用法、エレクトロニック・ドラムの未来(!?)について語ったその一部を紹介しておこう。
──まずDTX Drums(以下DTX)全体の印象からお聞きしたいのですが、ペギさんはDTXをしっかりと叩くのは今回が初めてだったそうですね。
ペギ:そうなんです。エレクロトニック・ドラムは楽器店とかでちょっと叩くくらいなんですけど、今回実際にちゃんと試奏して“こんなに進化しているんだ!”って思いました。よりアコースティック・ドラムに近い感覚というか、僕の中でのイメージで“エレドラ”と言えば、“ラバーの硬い感じ”だったんですけど、DTX562Kに装備されているDTX-PADの打感や、1つのパッドに3つもアサインできる3ゾーンとかすごいなと思いました。ハイハットにしても(DTX562Kは)普通にスタンドからセットできるし、クラッシュ/ライドはチョークもできますし。それから音がめちゃくちゃ静かですよね。これを購入して自宅練習に使ったとして、“ここまでのことができるのか!” って思いましたよ。ちょっと前では考えられなかったですよね。
──Buntaさんは昔からヤマハのエレクトロニック・ドラムをずっと使われているんですよね。
Bunta:大学時代にDTXPRESSをもらってから使い始めて。ペギが言っていたように、当時はやっぱり“パッドが硬いな” なんて感じるところもありましたけど、DTX-PADになってからは、すごく良くて。純粋に叩いていて気持ちいいんですよね。DTX450Kはラバー・パッドですけど、昔に比べると良い感じに打感が変わったと思います。もっと静かになったというか。自然な感じに近づいていますよね。
ペギ:文明の利器っていうのはすごいです(笑)。
──DTX DrumにはiPhoneやiPad対応のアプリと接続することができますが、例えば“Song Beats”なんていかがでしたか?
Bunta:4,000以上もの曲がフルサイズであって、ベースやギターを消したりと伴奏を調整できるし、曲のBPMも変えられる……これはほんとすごいですよ。自分の好きな曲のBPMを変えて叩けるんですから。CDではなかなかBPMを変えるのは難しいし。RIZEのKenKen(b)が若い頃にレッチリの曲をレコードで流して練習していたらしいんですけど、回転率を変えてBPMを倍テンにして弾いていたらしいんです。“そうやって練習したから今これだけ弾けるんだ”って話があって。まさにそれと同じことがもっと手軽にできるんですよね。
──本当にいくらでもアレンジができますね。
Bunta:それを追究して練習していったら、とんでもないドラマーが生まれるんじゃないですか……。
ペギ:恐ろしい……。
Bunta:さっきも話しましたけど、若いドラマー達は“グリッド上やクリックが正解”と捉えがちで、最近そういう空気が流れているけど、それはちょっと微妙だと思っていて。今回のDTXのトレーニングメニューが正しいみたいに感じてしまうかもしれないけど、正解はいろいろあることを知ってほしいですよね。世の中にたくさんの曲がある中で、このドラマーはこのタイミングでスネアを置いているんだとか感じ取ることができたなら、もっと上達できるんじゃないかと思います。そういう意味ではプリセット・ソングのデモのドラム音源が生っぽいのなんかはすごく良いですよね。フィルが完全にグリッド上になかったりするものもありますし。
──どの曲も常にジャストに来ていたら違和感を感じますしね。最後にDTXを使う/これから使おうと思っているドラマーにアドバイスを!
ペギ:僕も欲しくなっちゃいました! 価格帯もそこまで高いというわけじゃないですし、自宅に置くに当たって振動や防音の問題もあると思いますけど、ドラムが上達するきっかけに間違いなくなると思います。でも本当のこと言うと、若いドラマーには買ってほしくないですけど(笑)。
Bunta:本音出ちゃった(笑)!
ペギ:これ以上すごいドラマー出てきたら……(笑)。いや!僕もこれで負けじと練習しますよ!
Bunta:エレドラをどんなふうに使うか、どんなふうに練習機能を使うか、自分のやりたいようにどんどんアレンジしていけるようになっているから未知の世界ですよね。僕は未だに全部の機能は使いこなしていないけど、若い子達はすごい早さでどんどん吸収して追究していくと思うんです。アンテナを張っていれば、僕らがアドバイスしなくても自然にエレドラで練習を……とか行き着くと思うんです。だから恐いんだよね(笑)。
ペギ:そうですよ(笑)!
Bunta:だから僕らもチェックしないと!
──若いドラマーはもちろん、年配の方にも手軽にドラムを叩くきっかけになるかもしれないですね。
Bunta:そうですね。自宅でヘッドフォン使って気軽にドラムが楽しめますよね。
ペギ:運動にもなりますしね。気持ち良く叩けるんじゃないでしょうか。
リットーミュージック刊『リズム&ドラム・マガジン2014年12月号』でも連動企画としてDTX502&400シリーズを徹底特集! ここでは紹介しきれなかったトレーニング機能の解説に加え、本記事ではほんの一部を紹介したBuntaとペギによるトレーニングメニューの活用方法やエレクトロニック・ドラムを使用して練習することのメリットなどを語ってもらっている。もちろんここではお見せできなかった画像もたっぷり掲載。6ページに渡り盛り沢山の内容でお届けするDTX502&400シリーズ特集記事を是非チェックしてみてほしい!
■リズム&ドラム・マガジン 2014年12月号の詳細はこちらから!(リットーミュージック・ウェブサイト)
価格:オープン
価格:オープン