古き良き時代にハンドメイドで作られたビンテージ・ギターをコンセプトに、木工からピックアップ製作までをハンドメイドで製造するロサンゼルスのギター・ブランド＝LSL INSTRUMENTS。同社より初のエレキ・ベース、Balboaがリリースされた。本器はアルダー・ボディにメイプル・ネック、ローズ指板という、60年代のビンテージのプレシジョン・ベースを踏襲した設計。とは言え、ビンテージ・スペックを再現したモデルではなく、ナット幅が42.9mmと、39.7mmでモデルを選択できるのもユニークだ。ちなみに前者のナット幅は60年代前半のプレベ、後者がジャズ・ベースに近いため、慣れている方のモデルを選ぶことができる。ピックアップは自社でハンド・ワイアリングされたスプリット・コイルを搭載し、電装部分にはMojo Dijonのコンデンサーを搭載するなど、ビンテージ・サウンドを再現するためのさまざまな工夫が見てとれる。

　音を出してみると、上品さのある中低域の締まり具合は、60年代前半のプレベのサウンドといった印象。適度に枯れた心地良いトーンは、徹底した木材へのこだわりを持っている同社ならではなのだろう。とは言え、ビンテージほど枯れておらず、しっかりとパワーもあるため、たたけばそれにちゃんと反応する実用性の高さも魅力的。レリックのクオリティも高く、手に楽器が馴染む感じも良い。ビンテージ系のプレベを探しているベーシストは要チェックの一本だ。

ピックアップは自社でハンドワイアリングしたスプリット・コイルを搭載したPタイプをマウント。

指板は60年代のプレベ／ジャズベに見られたフラット貼り（スラブ貼り）を忠実に再現する。

フレットは細めながらに高さがあるタイプをセレクト。

個性的なコントロール・ノブにもレリックによるサビ加工が見られる。

ネック裏には見事なまでの塗装剥げを再現。

LSL INSTRUMENTS / Balboa Bass（※）