- デジマート・マガジン
- 特集
- Impression of V-Drums 第5回:宮上元克
Impression of V-Drums 第5回:宮上元克 [THE MAD CAPSULE MARKETS]
ラウドなドラミングもいけるV-Drumsの安定感と表現力
世界的に支持を得ているローランドのエレクトロニック・ドラム“V-Drums”。昨年発表されたフラッグシップ・モデル“TD-30KV-S”は、“V-Drums SuperNATURALサウンド・エンジン”を搭載した音源モジュールを核とし、より自然で豊かな音の表現を可能にした。本連載では、さまざまなフィールドで活躍するプロ・ドラマー達にTD-30KV-Sをプレイしていただき、その生の声をお届けする。第5回に登場するドラマーは、宮上元克。以前からドラム・トリガーやエレクトロニック・ドラムを活用してきた彼が、進化したV-Drumsの実力を試す!
本番さながらのクオリティで録れる
僕はパワー・ヒッターでキックを強く踏み込むので、キック・パッドの安定感はとても気にするんですが、バッチリですね。自宅で使っている以前のモデルは口径が小さめで、グラついてしまわないように加減してキックを踏んでいるんですが、そうすると思うようにプレイできないこともあって……でもこのモデル(TD-30KV-S)のキック(KD-140)は、思い切り踏み込んでも大丈夫ですね。ドラマーとしてボトムの安定感はまず大切なところで、うれしい限りです。それと、ハイハットがめちゃくちゃ良いですね!オープンにしたときの鳴りがすごく自然だし、反応の速さは素晴らしいですよ。これまでのエレクトロニック・ドラムのシンバル類の音って、どうしても打ち込みっぽく聴こえてしまうところがあったんですけど、このモデルはそういう不自然さもないです。ハイハットの調整も、今までは自分のフィーリングと合わせるのが難しく感じていたんですけど、細かくいじらなくても良さそうですし、すごく進化していますね。スネアに関しては、フル・ショットで叩いた音色も気持ち良いし、クローズド・リム・ショットも確実に出てくれます。反応も自分の気持ちにしっかりと追従してくれるし、音の響き(鳴り)も自然で、まったく違和感なく叩けますよ。今まではV-Drumsを叩いて、録音したものをDAWのソフト上で調整していたんですけど、これならV-Drums本体でEQ、コンプの調整など、すべて完結できるし、本番さながらのクオリティで録れると思いますよ。
夢が広がる楽器
今までもライヴで、アコースティック・ドラムのセットの横に置こうかと思っていたんですけど、演奏について来てくるかという心配や、ルックス面で正直なかなか踏み切れなかったんです。でもこのモデルはライヴでも使いたくなるほどクオリティが高いし、何より見た目がカッコいいです!これはステージ栄えしますよ。実は、サポートするアーティストによって、ドラムの色が合わないと言われてしまうこともあるんです。僕のメイン・キットのカラーはオレンジなんですけど、“黒いキットはないの?”と言われてしまったり(笑)。ときにはそういうオーダーもあるので、状況によってこのV-Drumsはパッドのシェルのカバリングが簡単に変えられるというのも良いですね。
僕はエレクトロなサウンドが中心のバンドのサポートもよくやるんですけど、そういうバンドだとアコースティック・ドラムの音だけだと対応できない曲もあるし、でもアコースティックなサウンドが欲しい場合もあるんです。だから、どちらの音にも対応できるこのフル・セットをそういう現場で試してみたいなと思いました。たまにDJとドラムの2人で演奏するときもあるんですけど、その場合アコースティック・ドラムでバランスを取るのが結構難しいんですよ。でもこれはそういうバランスも取りやすいから、活躍してくれそうだなと思いました。叩きながら“あのバンドでこうやって使ってみたい”とかアイディアがどんどん出てくるし、夢が広がる“楽器”です。
Profile
宮上元克(みやがみ・もとかつ)
1991年にTHE MAD CAPSULE MARKETSのドラマーとしてデビュー。海外での評価も高く、アメリカ、ヨーロッパでのリリースやツアー、大規模フェスへの出演も多数行う。2006年のバンド活動休止以降は、SUGIZO、黒夢など、さまざまなアーティストのレコーディングやライヴのサポートとして活躍。12年に結成された、EXILEのTAKAHIRO、GLAYのHISASHI、TOKIEとのバンド、ACE OF SPADESでの活動も話題となった。
ステージで映えるルックスと確かな叩き心地のパッドを備えたハイエンド・モデル
Roland V-Drums TD-30KV-S
今回の試奏で登場した、パッド/シンバル/スタンドを最上位グレードで統一したTD-30KV-S。スネア/タム/ハイハットはセンサーの検出精度が向上し、TD-30 の実力を最大限に発揮。パッドの外観はブラック・クローム仕上げとなり(カバリング交換も可能)、メタリック・グレーに変更されたシンバルや、クローム仕上げのラックとのマッチングは、ステージに置いても何ら遜色ない存在感を放っている。
V-Proシリーズ共通の心臓部であり、活用の幅も広がった最新音源モジュール
TD-30 Drum Sound Module
昨年発表されたV-Proシリーズ最大のポイントとなるV-Drums SuperNATURALサウンド・エンジンを搭載した音源モジュール。基本的なパネル・レイアウトや操作体系は、定評ある先代のTD-20 / TD-20Xを踏襲している。機能面での大きなトピックは、アンビエンス専用フェーダーの装備のほか、USBに対応したことが挙げられる。USBメモリーに保存されたオーディオ・ファイルの再生や、音色/セッティング・データのバックアップが可能になり、PCとの接続もUSB経由で行えるので音楽制作システムとの親和性が高まった。液晶ディスプレイの視認性も向上し、ステージなど暗い場所での操作が快適に。プロ仕様の製品にふさわしい質感のメタリック・パーツを随所に使った外観デザインも要注目だ。
製品情報・関連記事
◎ローランドVドラム・シリーズに関する詳しい情報は、V-DrumsのHP(http://www.roland.co.jp/V-Drums/)をチェック!
◎製品に関するお問い合わせは、ローランドお客様相談センター(☎050-3101-2555)まで。
◎リットーミュージック刊行「リズム&ドラム・マガジン」最新号の詳細・購入はこちら