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Impression of V-Drums 第4回:白根佳尚 [Dezille Brothers, KREVA, 加藤ミリヤ, 他]
さまざまな“現場”で生きる1台
ドラマーが思うV-Drumsの可能性
世界的に支持を得ているローランドのエレクトロニック・ドラム“V-Drums”。昨年発表されたフラッグシップ・モデル“TD-30KV-S”は、“V-Drums Super NATURALサウンド・エンジン”を搭載した音源モジュールを核とし、より自然で豊かな音の表現を可能にした。本連載では、さまざまなフィールドで活躍するプロ・ドラマー達にTD-30KV-Sをプレイしていただき、その生の声をお届けする。第4回に登場するのは、さまざまなアーティストのサポートで幅広く活躍するドラマー、白根佳尚。試奏を行う彼からは、実際の現場を想定した言葉の数々が聞けた。
ドラム・サウンドの選択肢が無限に広がる
普段からサンプリング・パッドのSPD-SXを使っていて、フレーズや単音を入れておいてライヴで活用しています。特に、ライヴの現場でマニピュレーターがいないときに、僕がシーケンスを流すという用途で使用することが多いですね。エレクトロニック・ドラムのセットは、今まで人の家にあったモデルをプリプロのときに使ったことはありますが、このモデル(TD-30KV-S)は初めて触りますね。まず、叩いたときの感触としては、特に難しいことも考えずにシンプルに叩いても違和感などは感じませんね。特にジャズ・キットのライド・シンバルの音色とかは、叩いていてとても気持ち良いですよ。シンバルもスネアも自然で、これは想像を超える表現力ですよ! 以前のモデルもすごいなと思いましたけど、これは明らかに一皮剥けて、大きく進化していますね。演奏している中で、音色変化のつながりもナチュラルだと思います。あと、これ、“楽器の共鳴”の部分もこだわって作られていますよね? キックを踏んだときにスネアのスナッピーが共鳴するとか、そしてその具合いまでも調整できるなんて、すごいなぁ。中にはドラマーでさえも気づかないようなところまで表現されてますよね。もちろん、音源のサウンド・バリエーションが豊富なのも、うれしいです。実際にレコーディングやライヴの現場に、この音源に入っているだけの機材を持って行くのは大変というか無理ですから(笑)。出せるドラム・サウンドの選択肢は無限に広がりますよ。
エンジニアの領域にも踏み込める
試奏して一番驚いたのは、マイキングやアンビエンスなどの音作りの面です。本当に細かいところまで調整できますよね。今までエレクトロニック・ドラムを叩くときに、こんなに細かいところまで調整したことはなかったんですけど……面白いなぁ。各楽器のサイズとか、ミュートの具合いとか、そして、エフェクトなんかも充実していて、音を最終的なところまで細かく作りこめるので、あらゆるドラム・サウンドをまずは自宅でじっくり作りこんで、それをレコーディングの現場などにそのまま持ち込むと良さそうですね。そうすることで、さまざまな曲を想定したレコーディングにも瞬時に対応できますよね。状況に応じて微調整もできますし。とにかく、この音源だけでドラム・サウンドのすべてが完結するというのが大きいですよね。これだけ細かく自分で作りこめて、自宅からデータとして送れるっていうのが最高です。
その他にも、マイキングのパターンもいろいろ試せるし、エンジニアの領域にまで踏み込んで調整できるので、そういうのに疎いドラマーは、これをいじるだけでも勉強になると思いますね。僕はいつもエンジニアの方には、「“ビチッ”とした部分消して“ブゥン”っていうところ増やして!」というような伝え方をしているんですけど(笑)、このTD-30をいじりながら覚えれば、ちゃんと数値的な伝え方ができますもんね。アンビエンスとかもいろいろ研究したら面白そうです。このドラムは、“やれることの幅が広いな”と思いました!
Profile
白根佳尚(しらね・よしたか)
1983年1月23日、東京都生まれ。幼少より楽器に親しみ、8歳頃からドラムとパーカッションを始め、金子安延氏に師事。現在は、Dezille Brothers、WaJaRoでの活動の他、KREVA、加藤ミリヤ、中島美嘉、小沢健二などを始めとする多くのアーティストのライヴやレコーディングに参加している。12月4日には、白根が参加したKREVAの2013年ツアー音源を収録したライヴ・アルバム『SPACE TOUR』がリリースされる。
◎白根佳尚 Official Blog
ステージで映えるルックスと確かな叩き心地のパッドを備えたハイエンド・モデル
Roland V-Drums TD-30KV-S
今回の試奏で登場した、パッド/シンバル/スタンドを最上位グレードで統一したTD-30KV-S。スネア/タム/ハイハットはセンサーの検出精度が向上し、TD-30 の実力を最大限に発揮。パッドの外観はブラック・クローム仕上げとなり(カバリング交換も可能)、メタリック・グレーに変更されたシンバルや、クローム仕上げのラックとのマッチングは、ステージに置いても何ら遜色ない存在感を放っている。
V-Proシリーズ共通の心臓部であり、活用の幅も広がった最新音源モジュール
TD-30 Drum Sound Module
昨年発表されたV-Proシリーズ最大のポイントとなるV-Drums SuperNATURALサウンド・エンジンを搭載した音源モジュール。基本的なパネル・レイアウトや操作体系は、定評ある先代のTD-20 / TD-20Xを踏襲している。機能面での大きなトピックは、アンビエンス専用フェーダーの装備のほか、USBに対応したことが挙げられる。USBメモリーに保存されたオーディオ・ファイルの再生や、音色/セッティング・データのバックアップが可能になり、PCとの接続もUSB経由で行えるので音楽制作システムとの親和性が高まった。液晶ディスプレイの視認性も向上し、ステージなど暗い場所での操作が快適に。プロ仕様の製品にふさわしい質感のメタリック・パーツを随所に使った外観デザインも要注目だ。
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◎ローランドVドラム・シリーズに関する詳しい情報は、V-DrumsのHP(http://www.roland.co.jp/V-Drums/)をチェック!
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