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Impression of V-Drums 第3回:熊谷徳明
ドラマー/コンポーザー両視点から見るV-Drums
世界的に支持を得ているローランドのエレクトロニック・ドラム“V-Drums”。昨年発表されたフラッグシップ・モデル“TD-30KV-S”は、“V-Drums SuperNATURALサウンド・エンジン”を搭載した音源モジュールを核とし、より自然で豊かな音の表現を可能にした。本連載では、さまざまなフィールドで活躍するプロ・ドラマー達にTD-30KV-Sをプレイしていただき、その生の声をお届けする。第3回目に登場するのは、テクニカルなプレイを武器にフュージョン、ジャズなどで活躍する熊谷徳明。電子楽器にも関心が高いという彼が感じたこととは?
ツボを突いてくるような音が多い
まず、このセットのルックスが良いですね! 叩きたくなるルックスって大事ですよ。接続するケーブルまでこだわっていて、高級感のあるデザインなのでそそられます。それに各パッドの取りつけ部にボール・クランプが採用されていて、シンバルやタムの微調整ができるのもうれしいです。ドラマーはいろんな角度から自分のセッティングを見たりもするぐらい、セッティングおたくですから(笑)。
サウンドについてですが、スネアのリムとヘッドの音が混ざった、いわゆるオープン・リム・ショットの音も実に自然。スティックのリムへのかけ具合いによる音の変化まで凝っていて、エレクトロニック・ドラムもここまで来たかと思いました! ハイハットもクローズ〜オープンまで連続的で違和感などまったく感じないですし、バス・ドラムを踏んだときの、スネアやフロアの共鳴までも再現されていて、これらのリアルさは半端ないです。さらに、部屋鳴りやマイクの位置の調整までできたりとか、ドラマー視点で細かく作られていますね。入っているキットの音ですが、それぞれコンセプトがはっきりしているので、“このスタイルの音を出したいならこれでしょう”っていうのがわかりやすくて良いと思います。残響成分が多く、目の前に大きな会場が思い浮かぶような音色、パーカッション系のセット、メロディが演奏できるセットとか、あらゆるタイプの音色が入っているので、叩いていて単純に楽しいです。少年の頃の気持ちに戻れますよ(笑)。僕のツボを突いてくるようなものが多くて素晴らしいと思います。
シンセ使いから見てもV-Drumsはすごい
僕はTRIXのライヴでマーチング用のキャリング・ホルダーにSPD-SXと、バー・トリガー・パッドのBT-1をシンバル代わりにつけて、それを持って客席に乱入するという演出をしているんです。自分で作った音源を入れて演奏できるし、コンパクトなセッティングでいろんなアイディアをライヴで実現できるので助かっています。このセット(TD-30KV-S)は今日初めて叩きましたけど、エレクトロニック系のサウンドも、リアルなアコースティック・ドラムのサウンドも出せますから、これもライヴでいろんな使い方ができそうですね。ここまで再現性が高いエレクトロニック・ドラムというのは、今までなかったと思います。再現性が高いので“電子楽器だから、できることはここまでかな”という考えや諦めがないです。というか、これは“ここまでできるのか”って、むしろ突き抜けていると思いますね。すごく自由度が高いです。スネア、シンバルのパッド類もすごいと思ったし、モジュールにはたくさんの機能が入っていて、細かいエディットもできますし、このワンパッケージですべてのことができるという、総合的な完成度がうれしいですね。僕は自宅のスタジオでシンセサイザーを使うことも多いんですけど、シンセ使いの視点から見ても、V-Drumsはすごいなと思います。すごくこだわっていて、非の打ちどころがないですよ。これからもどんどん使ってみたいと思います。
Profile
熊谷徳明(くまがい・のりあき)
1970年3月18日、札幌生まれ。90年にバークリー音楽大学に入学。92年帰国後、日本を代表するフュージョン・バンド、CASIOPEAに加入。6枚のCDを発表。その後、“JAKARTA JAK JAZZ'94”、“NORTH SEA JAZZ FESTIVAL”への出演や、日本人初韓国単独ライヴを行うなど、海外でもそのドラミングは高い評価を得る。2004年にTRIXを結成し、リーダーとして大半の曲を作曲。12枚のCD、2枚のDVDを発表している。
◎TRIX Web & Noriaki Kumagai
ステージで映えるルックスと確かな叩き心地のパッドを備えたハイエンド・モデル
Roland V-Drums TD-30KV-S
今回の試奏で登場した、パッド/シンバル/スタンドを最上位グレードで統一したTD-30KV-S。スネア/タム/ハイハットはセンサーの検出精度が向上し、TD-30 の実力を最大限に発揮。パッドの外観はブラック・クローム仕上げとなり(カバリング交換も可能)、メタリック・グレーに変更されたシンバルや、クローム仕上げのラックとのマッチングは、ステージに置いても何ら遜色ない存在感を放っている。
V-Proシリーズ共通の心臓部であり、活用の幅も広がった最新音源モジュール
TD-30 Drum Sound Module
昨年発表されたV-Proシリーズ最大のポイントとなるV-Drums SuperNATURALサウンド・エンジンを搭載した音源モジュール。基本的なパネル・レイアウトや操作体系は、定評ある先代のTD-20 / TD-20Xを踏襲している。機能面での大きなトピックは、アンビエンス専用フェーダーの装備のほか、USBに対応したことが挙げられる。USBメモリーに保存されたオーディオ・ファイルの再生や、音色/セッティング・データのバックアップが可能になり、PCとの接続もUSB経由で行えるので音楽制作システムとの親和性が高まった。液晶ディスプレイの視認性も向上し、ステージなど暗い場所での操作が快適に。プロ仕様の製品にふさわしい質感のメタリック・パーツを随所に使った外観デザインも要注目だ。
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◎ローランドVドラム・シリーズに関する詳しい情報は、V-DrumsのHP(http://www.roland.co.jp/V-Drums/)をチェック!
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