シーンに合わせたヘッドフォン・イヤフォン選びの新提案

オーディオテクニカからハイブリッド型、アンプ内蔵イヤフォン・ヘッドフォンが発表

“世界戦略モデル”ソニック・フューエル・シリーズや、音質にこだわったIMシリーズなど発表

 毎年、時代のニーズを敏感に捉えた魅力的なヘッドフォン/イヤフォンを生み出し続けるオーディオテクニカ。ウッド・ハウジングを用い、ロングセラーを続ける最高級の密閉型ヘッドフォンATH-W5000をはじめ、音質のみならず機能性、デザイン性に優れたモデルを数多くラインナップしている。

 楽器ユーザーからは、マイクのブランドとしても広く認知されているオーディオテクニカより、新たなヘッドフォン/イヤフォンを含んだ魅力的な新モデルが10月10日に発表された。大きな注目を集めたのが、“世界戦略モデル”と宣言された、「ソニック・フューエル(Sonic Fuel)・シリーズ」。同シリーズからは、オーディオテクニカ初となる、高音質アンプを内蔵したコンパクト・ヘッドフォンATH-OX7AMP、密閉型/オープンエアー型のハイブリットと呼べるような新構造を持つ、ATH-CHX7などが発表された。

 発表会では、各モデルの詳細な説明だけではなく、ソニック・フューエル・シリーズの製品イメージが、ダイレクトに伝わるクールなイメージ映像も流れ、このシリーズがダンスなどのアクティブなシーンでの使用も考えられている製品であることが直感的にわかるようになっていた。また後半では、ヘッドフォン女子としても、各方面で活躍するモデルの坂井香さんと設計/開発陣とのトーク・セッションもあり、よりわかりやすく各モデルの魅力を知ることができた。坂井さんが実際に新モデルを耳に装着することで着けた際のイメージが沸き、彼女のユーザー目線からのインプレッションもとても参考になった。新たなヘッドフォン/イヤフォンは、デザイン性、フィット感とも高いレベルで仕上がっているのが感じられた。

 さらに、音質にこだわったバランスド・アーマチュア型の新イヤフォン、IMシリーズの詳しい説明もあったが、驚くことに4機種登場したすべてのドライバーを別に開発しているという。IMシリーズは、上位モデルの方が多くのドライバーを搭載しているが、単純にドライバーの数を増やしたのではなく、各モデルに合わせて独自のドライバーが開発されている。それ故、よりモデル毎の音質を最適化することができたという。これら魅力的な新モデルの発表会の様子は、以下の動画を参考にしてほしい。高音質で音楽を聴くことで、よりレコーディング時に近いサウンドや音楽の魅力に気付くことも多いので、ぜひバンド・ユーザーもチェックしてみよう!

密閉/オープンエアー型のハイブリット・イヤフォン誕生
ATH-CHX7 / ATH-CHX5

 大型で主張のあるデザインが印象的な“ソニック・フューエル・シリーズ”のイヤフォン、ATH-CHX7は、密閉型の良さとオープンエアー型の良さを併せ持ったオーディオテクニカ初となるイヤフォン。密閉型のイヤフォンは、着けた際の密閉性が高いため、フィット感が高く、音漏れがしにくいといった特徴があるが、周囲の音が聴こえない、長時間使用すると疲れるといったデメリットもある。対してオープンエアー型は、抜けの良いサウンドが得られるが、音が漏れやすい、耳から外れやすいといった弱点がある。その両方のデメリットを緩和し、メリットのみを活かす方向で開発されたのが、今回のATH-CHX7だ。

  • ATH-CHX7のカラーバリエーションは、ブラック、ホワイト、レッドの3色。

  • ATH-CHX7/RD(レッド)

 ベースとなる構造は、オープンエアー・タイプになっているが、新開発のハイブリット・イヤチップが着けられているため、フィット感を高め、さらに音漏れを防止する。大型のアルミハウジングの中には、大口径のφ14.3mmのドライバーが内蔵され、新設計ダクトを2つ配置することで、開放感のある抜けの良いサウンドを再生する。また先述のイヤチップのおかげで、密閉度が高まっているため、低域の再生においても迫力のある音が聴ける。付属するコードにもこだわりがあり、一般的なケーブルと比べると絡まり辛い、コードに細かな溝が刻まれたフラットコードが採用されている。音質/デザイン/装着感/機能性とも高い次元で仕上げられ、一般的な使い方からダンスなどのアクティブなシーンでの使用まで、幅広いユーザーに受け入れられるイヤフォンと言えそうだ。

 基本的な構造はATH-CHX7を引き継ぎ、φ13.5mmのドライバーを内蔵した、より求めやすいモデル、ATH-CHX5も登場する。さらに、スマートフォン用のマイク内蔵コントローラーが付属した、ATH-CHX7iS、ATH-CHK5iSもラインナップしている。

初の高音質アンプを内蔵したコンパクト・ヘッドフォン
ATH-OX7AMP

 ソニック・フューエル・シリーズのヘッドフォンの注目モデルは、なんとアンプを内蔵した、オーディオテクニカとしては初の試みとなるコンパクト・ヘッドフォン、ATH-OX7AMPだ。近年、音質にこだわったヘッドフォン/イヤフォンが数多く発売されているが、より高音質な音を聴くために、ポータブル・ヘッドフォン・アンプ(※ポタアンとも呼ばれている)を併用するユーザーも多くいる。しかし、小型と言ってもポータブル・プレーヤー+ヘッドフォン/イヤフォンで聴くよりも、どうしてもかさばってしまう。それが嫌で、ポタアンの導入に躊躇していたユーザーには朗報だ。

 ATH-OX7AMPは、ヘッドフォン自体に低ノイズ、高音質のヘッドフォンアンプが内蔵されている。アンプを内蔵すると大型化し、重量が増えがちだが、身軽に持ち運べるようなコンパクトな形状に仕上げられていた。もちろんポータブル・プレーヤーからの音声信号は、一度アンプを通った状態で出力されるのが普通だが、その音声信号をこのヘッドフォンのアンプでさらに増幅しても、ノイズ成分が増えないように工夫がされている。内蔵アンプを使うことで、より迫力のあるサウンドを、手軽に体験することができる。またアンプ機能を使わない際にはオフにでき、ギターなどのエフェクターではお馴染みの“トゥルーバイパス”仕様になり、音声信号のロスを防いでいる。

 ケーブルに関しては着脱式を採用している。またスマートフォンがコントロールできる、専用コードも付属する。ヘッドフォン全体のデザインは、シンプルに仕上げられているが、ヘッドバンドの形状に工夫が凝らされ、バンドと頭頂部との接地面積を高めるように製作され、疲れにくく安定したリスニングができる。

  • ヘッドバンドの形状に工夫が凝らされ、疲れにくく安定したリスニングを実現している。

  • ヘッドホンアンプON/OFFスイッチ、ボリューム・コントロール

 今回、同様のデザインながら、アンプを内蔵していないATH-OX5も登場した。CCAWボイスコイルを用いたφ40mmのドライバーを搭載し、高い駆動性を確保し、耐入力の性能も優れている。同モデルには、印象的なレッドのカラーが用意されているのも魅力だ。

新開発のドライバーを搭載し、音質にこだわったIMシリーズ
ATH-IM04 / ATH-IM03 / ATH-IM02 / ATH-IM01

 原音に忠実な再生音を目指して開発された、バランスド・アーマチュア型インナーイヤー・モニターヘッドフォン、IMシリーズが登場した。このシリーズでは、オーディオテクニカ初となる4つのバランスド・アーマチュア・ドライバーを4基搭載した、ATH-IM04はじめ、4つのモデルがラインナップしている。このシリーズは、音楽製作等を仕事とするプロの使用や、音にこだわるハイアマチュアが使っても満足できる音質を目指して製作されている。モデル毎にドライバーを開発していうのもその現れだろう。

 バランスド・アーマチュア型は、ドライバー自体を小型化できる点が大きなメリットとなる。それ故、イヤフォンのような小さな形状でも、数個のドライバーを内蔵することができ、低音域/中音域/高音域など、各帯域に独立したドライバーを割り当てることができるため、より緻密な再生が可能となる。またドライバー自体の感度も高く、音声信号の変化にも敏感だ。

 今回発売されたIMシリーズは、そんなバランスド・アーマチュアを採用したヘッドフォンで、ATH-IM01はフルレンジ、ATH-IM02は低、中高域、合計2つのドライバー、ATH-IM03は低、中、高音域、合計3つのドライバー、トップ・モデルのATH-IM04は低音域に2つ、中、高音域の合計4つものドライバーを内蔵したモデルになる。特にATH-IM04は、専用設計のクワッド・ネットワークが採用され、緻密かつレスポンスに優れた音源再生を実現している。さらに全てのモデルには、堅牢性に優れたワイヤー入りの専用着脱コードが着けられ、密閉性、遮音性に優れたコンプライ・フォーム・イヤピースも付属し、満足度の高い装着感を生み出している。デザインも洗練され、筐体は日本で製作されているとのこと。原音に近い、高い再生音を求めるユーザーに、ぜひお薦めしたい新モデルと言えそうだ。