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自分にピッタリのリスニング環境を見つけよう!
ヘッドホン/イヤホン・ベーシックガイド
自分に合うヘッドホン/イヤホンを見つけるには?
近年、爆発的とも言える勢いで普及したヘッドホン/イヤホン。さまざまなデザイン、音質、特性を持った製品リリースされ、選択肢が増えたのは我々音楽ファン/楽器プレイヤーにとって嬉しいことに違いない。しかし一方で、あまりに多くの種類の製品が揃ったがゆえに「どれを選べばいいの?」と途方に暮れてしまうユーザーがいることも事実だろう。
そこでデジマートでは、その形状、タイプ、構造、用途などでタイプ別に分類し、特徴や音質などをメリット/デメリットで分かりやすく整理してみた。どんなタイプが自分に合うのか、検討する材料として活用して欲しい。
※各タイプの画像は一例です。
ヘッドホン/イヤホンの基本知識・その1 〜 形状から見るタイプ分類
オーバーヘッド型(ヘッドホン)
オーバーヘッド型ヘッドフォン。「ヘッドバンド型」とも呼ばれる。最もオーソドックスな形状で、製品数も多い。
メリット:ダイナミック・レンジが広く、音が割れにくい。耳にユニットを入れないので、耳内の違和感は無い。耳を完全に覆うものはかなり密閉性が強く、モニタリングに向いている。
デメリット:重く暑いので夏には不向き。髪型も乱れやすい。筐体が大きいので、デザインの差が表れやすい。
ネックバンド型(ヘッドホン)
バンドを首の後ろで固定して使用するネックバンド型。
メリット:軽いが装着感があるので、外れにくい。オーバーヘッドのように暑くないので、スポーツをする時などに向いている。ギターの練習をするのには、定番とされるオーバーヘッドよりオススメ。
デメリット:バンドの長さ調節が利かないものが多い。服の形状によっては、後ろに回すバンドが邪魔になる。
耳掛け型(イヤホン)
ハンガー部分を外耳に引っかけて固定する耳掛け型イヤホン。
メリット:硬いバンドではなくコードなので、携帯性と装着性を両立できる。
デメリット:耳の形によっては外れやすく、また、長時間使用すると耳たぶが痛く感じる事がある。
インイヤー型(イヤホン)
イヤホンとしてはトラディショナルなタイプと言えるインイヤー型。サイズの異なるイヤーパッドを用意し、より装着感を高められる製品もリリースされている。
メリット:耳穴の入り口に引っ掛けるので、圧迫感は無い。軽い。昔ながらの開放型(携帯プレイヤーや携帯電話に付属するものの多くがこれ)が多く、付けていても外の音が聴こえやすいので安全。
デメリット:開放型だと音漏れを防ぎにくい。音の密度が無く、高域も低域も出にくい。小ささ故にリモコンを本体に付けることができず、コードの中間にある場合が多いので断線の原因になる。
カナル型(イヤホン)
インイヤー型よりも耳穴に深く差し込んで使用するカナル型。現在のイヤホンで主流となるタイプだ。自分の耳に合ったイヤーピースを選ぶことが重要。
メリット:密閉性が高いので、小さなユニットでも音圧があり、全体的に高音質。ドライバーはバランスドアーマチュア型(後述)が多いのでモニターにも向いている。
デメリット:耳に深く差し込むので、イヤーピースが合わないと不快度が強い。また、手入れをしないと不衛生になりがち。
ヘッドホン/イヤホンの基本知識・その2 〜 向いている用途から見るタイプ分類
オーディオ・タイプ(ヘッドホン/イヤホン)
気持ちよく音楽をリスニングすることをテーマにデザインされたオーディオ・タイプ。
メリット:聞きやすく、耳あたりの良い高音質を出す。ダイナミック型が多く、臨場感にあふれたサウンドを楽しめ、疲れにくい。聞きたい音の傾向で、種類を豊富に選べる。
デメリット:音が誇張されているので、原音の正確さはモニター・タイプに一歩譲る。クラシックなどに向いており、タイトなデジタルサウンドには不向き。
モニター・タイプ(ヘッドホン/イヤホン)
音源をシビアに聞き分けられるよう原音の再現性に主眼が置かれたモニター・タイプ。レコーディング等に必須のタイプだ。
メリット:原音の再現性が高い。解像度、情報量にすぐれ、細かな音を聞き分けやすい。レコーディングや楽器のモニタリングなどのシビアな音の聞き分けが必要な場合によく利用される。
デメリット:無機質な音なので、臨場感が全くない。余計な音まで聞こえるので気持ちよく音楽を楽しめない。長時間聞くと、疲れる。
DJタイプ(ヘッドホン)
低域が強く、片耳でモニタリングしやすいようにハウジングの向きが変えられるモデルが多いDJタイプ。
メリット:アタック音が強く出るので、テンポを把握しやすい。ハウジングごと外向きに回転したりと、独自の機能が多い。低音に強い。
デメリット:カール・コードのデザインに賛否が分かれる。重くて大型のものが多い。高音は出にくく、音像のバランスが悪い。
ノイズキャンセル・タイプ(ヘッドホン/イヤホン)
外部のノイズを打ち消す機能を持ったノイズキャンセル・タイプ。付属のマイクで拾った周囲のノイズと逆位相の音をミックスさせる。
メリット:特にサ音の除去が強いので、曲間やブレイクで完璧な静音を得られる。外部音も押さえられるため、小音量で聞く事ができ、耳を痛めない。
デメリット:必要な音も消してしまうことあるため、音質そのものが落ちる。通常の密閉型以上に外の音が聴こえなくなるため、外出時は危険(ただし、演奏を止めると、外の音をあえてマイクで拾うものもある)。
ヘッドホン/イヤホンの基本知識・その3 〜 使用ユニット(ドライバー)から見るタイプ分類
ダイナミック型(ヘッドホン/イヤホン)
最も多くの製品で使用されているダイナミック型ドライバー。基本的にはスピーカーと同じ構造で、コイルに接続した振動板を駆動させるメカニズムだ。
メリット:最も多くの機種で採用されている。ダイアフラム(振動板)が大きくなればなるほど音質向上が望める。強力な低音。様々な形状に応用でき、比較的安価。
デメリット:解像度はそれほど高くない。オーバーヘッドぐらいの大きさが無いと、音質による恩恵は受けにくい。
バランスドアーマチュア型(イヤホン)
ダイナミック型より小型化しやすいため、イヤホンによく使用されるバランスドアーマチュア型。低域用・高域用など複数のドライバーを搭載した製品も多い。
メリット:小型化が容易。雑味が無くクリアな音質で、現代風のサウンドの再生に向いている。モニター向き。
デメリット:低音が出にくく、複数のドライバーを使用して音圧を稼ぐ必要がある。高価なものが多い。
コンデンサー型(ヘッドホン)
非常に高音質なコンデンサー型。しかし駆動用の電源(アンプ)が必要だったり高価になりがちでもある。
メリット:定位感が強い上に、バランスよく高音質。音が歪みにくく鮮明。コードの長さに音質が左右されにくい。
デメリット:アンプからの駆動電源が必要。高価。ワイヤレスにはできない。
骨伝導型(ヘッドホン/イヤホン)
音情報を直接骨に伝える骨伝導型。
メリット:音情報が直接骨を伝わり、騒音の中や、会話をしながらでも明瞭な音を聴き分ける事ができる。耳を塞がないので外の音を聞き取るのが容易。屋外での携帯電話の使用に最適。難聴を防げる。
デメリット:個々の骨の形状や厚みによって音が変わると言われており、あまり高音質を望めない。有線では汎用端子による(USB)接続が必要な場合があり、通常のジャックには使用できない機種も存在する。
ヘッドホン/イヤホンの基本知識・その4 〜 構造から見るタイプ分類
密閉型(ヘッドホン)
ヘッドホンの基本とも言える密閉型。遮音性に優れるため、音源に集中しやすい。選択肢が多いのも魅力の一つ。
メリット:遮音性が強く、聞き分けたい音を選別しやすい。低音に質感がある。
デメリット:パッドの性能の差がもろに出やすい。外の音がほとんど聴こえないので危険。詰まったような高音になる。
開放型(ヘッドホン)
ハウジングの背面がオープンになっている開放型。スピーカーを聞いているような、自然な音場感が特色。
メリット:スピーカーの音に近く、自然な空気感のある音質が楽しめる。高音がこもったりせずよく抜ける。長時間聴いても疲れにくい。
デメリット:正確なモニタリングには向いていない。音が漏れやすく、外出には不向き。低音が軽い。
半密閉型(ヘッドホン)
密閉型と開放型の長所を併せ持った半密閉型。
メリット:バランスを重視した作りで、低音から高音までほどほどの音質が得られる。
デメリット:半端な開放のため、狙った音が出にくく、遮音性も良くない。音に主張が無い。
ヘッドホン/イヤホンの基本知識・その5 〜 伝送方式から見るタイプ分類
ワイヤード(ヘッドホン/イヤホン)
メリット:抜群の安定感と高音質。ノイズが混入しにくい。構造が単純で軽量なので、小型化がしやすい。安価。
デメリット:コードが長くなればハイ落ちする。動きを制限される。コードの断線トラブルがいつか起こる可能性が高い。
ワイヤレス(ヘッドホン/イヤホン)
メリット:コードによるトラブルが皆無。動きを全く制限されない。距離による音質劣化はわずか。
デメリット:バッテリーを装備するので重く大きくなりがち。Bluetooth以外(デジタル、アナログFM、Wi-Fi)では送信機も必要な場合が多い。規格が細かく分かれているので、対応する好みのヘッドホンが見つからない可能性もある。以前よりも改善されてきてはいるが、音質は全体的にワイヤードの方が上。レイテンシーに差がある機体が多い。
これだけは知っておこう!ヘッドホン豆知識
[インピーダンス・マッチング]
楽器用ユーザーは特にモニター用ヘッドホンを使用する機会も多いはずだが、海外のモニター・ヘッドホンにはミキサー卓などに使用するために100Ωを越えるハイ・インピーダンス対応に設定されている機種も少なくない。通常の音楽用ヘッドホンは10〜30Ω程度なのであまり気にもかけずに使っているが、モニター・ヘッドホンの場合は、より高音質で聞くためにもインピーダンスを揃える必要がある。アンプのセンド/リターンなんかと同じ理屈だ。
[パッドの手入れを欠かさない]
実は「ヘッドホンの音の5割はパッドで決まる」と言われているくらいの、最重要なパーツ。パッド、使用すれば必ず劣化して割れたり変形したりするものなので、定期的にメンテナンスや交換が必要だ。ほんの少し形状や高さが変わるだけで、低音が倍増したり、逆にスカスカの音になったりする。メーカーが最初から付けている純正のものは、その機種に採用されたドライバーの性能をきちんと引き出し耳に届けるよう設計されていることがほとんどだ。逆に言えば、純正の音が気に入らなければ、パッドをカスタムするだけで音を自分の好みに近づける事もできるというわけだ。だが、まずはパッドを正常に保ち、メーカーがどんな音を提供しようとしているのかを聞き取るよう心がけると良いだろう。正しい音で耳がこなれてくれば、自分の好みの音も見つけやすくなる。これはカナル型などのイヤーピース(イヤーチップ)にも同じ事がいえる。正しい音質を押さえつつ、素材や硬さ、大きさにもこだわっていこう。
[リングを見逃すな]
旧式のオーバーヘッド・タイプによくあることなのだが、機種によっては、パッドとドライバーの間に溝のような隙間が存在する。それを埋めて音の直進性を高める為に、溝を埋めるように「リング」状の補助枠が取り付けられている場合がある(SONY MDR-CD900STなどもそのタイプ)。一見わかりづらいが、これも消耗パーツだ。パッドと同じく経年で劣化してくるので、このパーツの消耗に気付かず「ヘッドホンが壊れた」、「寿命だ」、などと勘違いしてしまう人も多い。リングがある機種では、この点に注意をし、日々のメンテナンスを欠かさない事によって、ヘッドホンを圧倒的に長持ちさせる事ができるようになる。劣化してきたら、パーツがメーカーから無くなる前に、早めに交換しよう。